スペシャルティコーヒーとは何か?どう美味しいのか?
こんにちは!
後珈琲探訪記です。
今回は、スペシャルティコーヒー について書きたいと思います。
コーヒーを普段飲まれる方の多くは、「スペシャルティコーヒー」という名前を聞いたことがあるのではないでしょうか?しかし、実際どのように「スペシャル」なのかはあまり知られていないように感じます。
ですので今回は、スペシャルティコーヒーとは何なのかを解説したいと思います。その後、実際にランクの違ったコーヒーを焙煎し飲み比べ「スペシャルティコーヒー は味がどう違うのか」ということを検証していきたいと思います!
生豆のランク(スペシャルティコーヒー)について
⬆︎の写真のように、コーヒー豆は「コーヒーチェリー」と呼ばれる果実の中から取り出された種子からできています。この生豆を焙煎(加熱)することで普段目にする「コーヒー豆」が出来上がります。
生豆は、生産国、精製方法、品種、標高、土壌などの違いにより、驚くほど多様な成分を蓄えます。その成分の違いが、コーヒーになった際の味わいの違いをうみだします。
ではどういった味わいを持つコーヒーが「スペシャルティコーヒー 」なのでしょうか?様々な団体が言及しておりますが、ここではSCAJの基準を参照したいと思います。
SCAJとは「Specialty Coffee Association Japan(日本スペシャルティコーヒー協会)」のことで、業界の大多数の企業が参加している、とても規模の大きい団体です。
SCAJのホームページを見ていきます!
SCAJのホームページを参照していきたいと思います。(SCAJホームページ:https://scaj.org/)
初めに、「スペシャルティコーヒーの定義」が述べられています。
消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。
風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。
スペシャルティコーヒー とは、要は「美味しいコーヒー 」のことのようです。「印象的な風味特性」「爽やかな明るい酸味特性」「持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと」を「美味しいコーヒー 」の要件として挙げています。
その後、具体的な評価基準として下記のカテゴリーを設定しております。
1.カップ・クウォリティのきれいさ
2.甘さ
3.酸味の特徴評価
4.口に含んだ質感
5.風味特性・風味のプロフィール
6.後味の印象度
7.バランス
(SCAJホームページ参照:https://scaj.org/about/specialty-coffee)。
上記の評価ポイント1つ1つに点数をつけ、一定の点数を獲得した「美味しいコーヒー 」であることが、「スペシャルティコーヒー」である条件の一つのようです。
その他には、どのような生産工程や品質管理がなされたかが明確であること、欠点豆の混入が極めて少ないこと、サステナビリティやトレーサビリティについても言及されています。(詳しくはホームページをご覧ください)。
その他のランクのコーヒーについて
次にスペシャルティ以外のランクについて紹介したいと思います(ここからはSCAJは関係なく、私の認識です。)
- ローグレードコーヒー:生産国で国内消費や、インスタントコーヒーで使用。
- コモディティコーヒー:主にスーパーやコンビニで使用。
- プレミアムコーヒー:主にコーヒー専門店で使用。
- スペシャルティコーヒー:コーヒー 専門店で使用。(全体の約5%)
そしてスペシャルティコーヒー の中でも、
というようにランク付けが行われています。
以上で説明は終わりです!
続いて、コモディティコーヒーと、「スペシャルティコーヒー」を、できる限り同じレシピで焙煎し、飲み比べたいと思います!
※(補足)
「スペシャルティコーヒー」の定義については、SCAJ・SCAA(Specialty Coffee Association of America)やその関連団体のCQI(Coffee Quality Institute)など各団体で微妙に異なるため、上記はあくまで解釈の一つです。
なので現状、「この条件を満たしていないコーヒーはスペシャルティを名乗れない」というような法的拘束力はありません・・・。今回使用する「スペシャルティ」「コモディティ」も、各商社が社内品評会でその会社の基準で評価したものと思われます。
ですので当たり前のことですが、自分の五感で生豆を評価鑑定する能力がないと焙煎はままなりません。生豆鑑定は、焙煎士に必要な能力の一つと言えます。
焙煎!
今回用意したのは下記の豆です。
①ブラジル深煎り
1.ブラジルNo.2 17/18(コモディティ)
2.ブラジル セラード・手積み完熟豆(スペシャルティ)
②コロンビア中煎り
1.コロンビア エクセルソ(コモディティ)
2..コロンビア サントゥアリオ ブルボン (スペシャルティ)
例えば「コロンビアエクセルソ」は「コロンビアで生産されたスクリーンサイズ(豆の大きさ)が14~16」ということが同じなだけの、様々な地域・生産環境の農園から雑多に集められた豆です。お米で言うとブレンド米のようなイメージです。
スペシャルティは両方とも、生産者・農園名・品種・標高・包装方法など細かく記載されています。ブランド銘柄のお米のようなイメージです。
では、焙煎していきます!
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完成!!!
飲み比べ
ブラジル深煎り
1.コモディティ
・優しい口当たり
・穀物のようなシンプルな香ばしさ
・風味に少し濁り(モヤがかかった感じ)
2.スペシャルティ
・香りが強い
・多層的な香ばしさ(ナッツ・チョコ・キャラメルのような)
・冷めると甘味や綺麗な酸味が出てきてまた美味
・雑味がなくスッキリしている
・飲み込んだ後も残る甘い香り
コロンビア中煎り
1.コモディティ
・爽やかな酸味
・しっかりとした飲みごたえ
・先ほどのブラジルコモディティに似た素朴な香ばしさ
2.スペシャルティ
・力強く多層的な香り(香ばしさに加え、花やフルーツのような華やかさ)
・果物のような心地よい酸味
・雑味がなく飲みやすい
・後味に残る甘い余韻
まとめ
スペシャルティコーヒー は、コモディティと比べ実際に美味しく感じました。両生産国に共通して、スペシャルティコーヒーは、香りの強さ・華やかな風味・雑味なく透明感がある・後味に残る甘い香りが印象的でした!
当店では大半の豆が「トップスペシャルティ」 です。小規模焙煎所である強みを活かして、少量ずつ丁寧に焙煎し、日常的に楽しんで頂けるお値段で販売しております。
よろしければご覧ください!
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(当記事に関するご質問・ご指摘もショップの「お問い合わせ」より受け付けております。)
最後までお読みいただきありがとうございました!
後珈琲探訪記
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参考文献
・一般社団法人日本スペシャルティコーヒー 協会、"スペシャルティコーヒー の定義"、https://scaj.org/about/specialty-coffee、アクセス日:2023/04/11
・三神亮『Coffee Fanatic 三神のスペシャルティコーヒー 攻略本"コーヒー・ファナティクス"(概論/焙煎/抽出)』、文芸社、2022年
・旦部幸博『コーヒーの科学「おいしさ」はどこで生まれるのか』、講談社、2016年
・堀口俊英『THE STUDY OF COFFEE』、新星出版社、2020年
・全日本コーヒー商工組合連合会『コーヒー検定教本』(第3版)、2021年
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