【珈琲抽出理論③】お湯の温度について

こんにちは。後珈琲探訪記です!

前回に続き、「抽出理論」シリーズを書いていきたいと思います。

 

シリーズを見終わると味わいのバランスをご自身で調整できるように構成しておりますので、過去記事もぜひご覧ください!

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未抽出/過抽出のバランス

「挽き目」「粉の量」に続き、お湯の温度も未抽出/過抽出のバランスに影響があります。

 

基本的には、湯の温度が高い方が成分は溶け出しやすいので、温度が高いと過抽出気味、温度が低いと未抽出気味になります。

 

つまり、湯の温度が高い方が苦味やコクや雑味が出て、低いと全体の成分が少なく酸味が目立った味わいになる傾向があります。

 

また、私の経験的な話になりますが、深煎りコーヒーの苦味は特に温度変化の影響を受けやすいように感じます。少し温度を高くすると、口に入れた瞬間に感じる深煎りらしい鋭い苦味をより明確に感じます。

 

反対に、深煎りコーヒーで温度を低くすると、口に入れた瞬間の鋭くキレのある苦味がグッと弱まりコーヒーらしい柔らかな苦味が目立つ印象です。この「深煎りらしい苦味」をどの程度表現するかは、ひとつ重要なテーマかと思います。

 

濃度

 

以前紹介した「粉の挽き目」「粉の量」は、変化すると濃度にも大きな影響がありました。

 

しかし、お湯の温度はそこまで濃度には影響しないと感じます。ですので他の項目を変化させた時、お湯の温度で補正するというような使い方ができます。

 

例えば、質感を軽快にするために挽き目を荒くした場合、お湯の温度を上げることで、軽快な質感はそのままで、未抽出/過抽出バランスを補正するといった具合です。

 

風味の明確さ

高い温度で抽出すると味や香りや口当たりが鋭く鮮やかに感じます。この感覚をここでは「風味が明確」と表現しています。

 

低い温度で抽出すると丸みがあり・穏やかで・奥ゆかしい香味や口当たりを感じます。

 

例えば、水出しコーヒーは低温の水で長時間かけて抽出するため、苦味があるけれど鋭さがなく非常に丸みがあって面白い飲み口です。香りもジワーッと広がっていく印象があります。

 

反対にサイフォンは沸騰している高温のお湯で抽出するため、全体の印象としてキレがあり、口に入れた瞬間から香りがパーッと開く鮮やかな印象です。

 

「温度の変化までは手に負えない」という場合はひとまず温度は固定すると良いとも思います。無理せず、楽しめる範囲でご調整ください!

 

終わりに

コーヒー抽出は、実際はとても複雑です。

 

「苦味成分」に限っても、一定の温度から急激に抽出されやすくなる成分や、温度とそれほど変わりなく抽出されやすい成分などがありますので、簡単に「温度が低いと苦味が少ない」と言って終わるほど味気ない世界ではありません。

 

ある要素を変えるとどういった成分がどの程度多くなり、結果としてどう味が変化するのかという細やかな部分の化学的な研究は、文献を読んでいる限りではまだまだ発展途上に思います。

 

そういった未解明な部分に踏み込んだ結果、今回の記事は経験的/感覚的な内容が多く、あまり科学的でない内容が多くなりました。もちろんでたらめを言っているのではなく、文献を読み、実験を行なって、ある程度整合性がとれた理論を紹介しています。

 

最後はご自身の五感で確認して、情報を取捨選択して頂ければと思います!当記事が、皆様独自の【抽出理論】を作り上げるヒントになれば幸いです。

 

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最後までお読み頂きありがとうございました。

後珈琲探訪記

 

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参考文献

・旦部幸博『コーヒーの科学「おいしさ」はどこで生まれるのか』、講談社、2016年

・堀口俊英『THE STUDY OF COFFEE』、新星出版社、2020年

・三神亮『Coffee Fanatic 三神のスペシャルティコーヒー 攻略本"コーヒー・ファナティクス"(概論/焙煎/抽出)』、文芸社、2022年

・田口護・旦部幸博『コーヒー美味しさの方程式』、NHK出版、2014年

・全日本コーヒー商工組合連合会『コーヒー検定教本』(第3版)、2021年