【珈琲抽出理論②】粉の量について

こんにちは!後珈琲探訪記です。

 

前回に続き、コーヒー抽出における風味の調節方法を紹介していきたいと思います。

 

前回説明した用語を今回も使用しますので、まだの方はぜひお先にお読みください!

bubuyamacoffee.hatenablog.com

今回は「粉の量」について述べたいと思います。

 

粉の量は、濃度が変わるだけではなく、苦味/酸味のバランスなどにも影響を与える重要な項目です。ぜひご覧ください!

 

 

未抽出/過抽出のバランス

粉の量を増やす

粉の量が増えると、粉あたりの抽出量が減ります。例えば、5gで150cc抽出すると粉1gで30ccを負担することになりますが、30gで150cc抽出すると粉1gあたり5ccしか負担がありません。

 

そのため、粉の量を増やすと未抽出寄りになります。つまり抽出されやすい酸味系の味わいにバランスが傾くことになります。

 

酸味が多めで濃度が高くも複雑さはあまりないコーヒーになるので、濃いけれど、比較的明るくサッパリとした印象になるかと思います。香りに関しても明確で明るい印象になります。

 

ですので濃いコーヒーが飲みたい場合、「重厚で暗い」印象のコーヒーが良いか「明るくサッパリ」が良いかで取るべき方法は変わってきます。

 

「重厚で暗い」印象にしたい場合、豆の量を増やすのではなく、挽き目を細かくするほうが求める味わいに近づくかと思います。

 

粉の量を減らす



粉の量を減らすと、粉あたりの抽出量が多くなり過抽出気味になります。この場合あとから抽出される苦味・雑味・複雑さにバランスが傾きます。

 

濃度は下がり、苦味成分を含めた様々な成分が抽出されるため、複雑さやコクが、濃度が低いわりにはあるという印象になります。

 

香りも起伏が少なく、奥ゆかしさを感じる仕上がりになります。ただあまり粉の量を減らすとコーヒーの美味しさの要である「香り」が弱くなりすぎるので、微調整に留めると良いです!

 

以上のことから、薄め(淡め)のコーヒーが飲みたい場合、「薄め」といっても「マイルドな印象」にしたいか「瑞々しい印象にしたいかで方法が変わると言えます。

 

瑞々しくサッパリした印象にしたい場合は豆の量を減らすのではなく、挽き目を粗くするほうが効果的です。

 

濃度

 

粉を多く使うと濃く、少なく使うと薄くなります。

 

挽き目を粗くした時に、粉の量を増やし、未抽出寄り・軽快な質感はそのままに濃度を補正するといった使い方もできます。

 

深煎り・浅煎りと粉の量

 

様々なコーヒー屋・書籍で抽出レシピを見ていると、ほとんどのお店が浅煎りより深煎りの方が多くの豆を使っていることがわかります。

 

なぜだと思いますか?ここまでの話からなんとなくその理由・理屈が予想できるかと思いますがいかかでしょうか・・・?

 

↓(深煎りとは何?については過去記事をぜひご覧ください!)↓

bubuyamacoffee.hatenablog.com

 

深煎り

深煎りが豆の量を多く使う理由について、濃度未抽出/過抽出の2つの観点に絞って解説したいと思います。

(以下は私の解釈です。店ごとに異なる思想があると思います。)

 

濃度の観点では、濃いほうが香ばしさや苦味等の深煎りらしい特徴とよく合うためと思います。深煎りで薄めだと、私はスカスカした何かが足りない印象を感じてしまいます。

 

未抽出/過抽出の観点では、深煎りは普通に抽出すると重厚さや苦味が強いので、未抽出気味にすることで和らげバランスを取る目的ではないかと思います。

 

深煎りコーヒーの定番レシピとして、「豆をたっぷり使って粗めに挽いてサッと抽出する」というものがあります。

 

深煎りの旨味や香ばしさはそのままに、苦味を控えめに表現することを狙った抽出方法です。スッキリした口当たりでありながら深煎りの芳醇な香りを楽しめる、私も大好きな淹れ方です。

 

浅煎り

反対に浅煎りは濃度としては薄め(淡め)が合うと思います。一般的には浅煎りに濃度感・飲み応えをあまり求めず、スッキリ感・軽やかさを求めるかと思いますので、薄めが合います。

 

味わいバランスの観点では、浅煎りは酸が強いため、過抽出気味にし適度で心地よい酸の印象にすることが目的と思います。浅煎りで豆の量を多めの未抽出気味にすると、酸の主張が激しい刺激的な味わいになります。

 

まとめ

 

今回は「粉の量」について紹介しました。

 

オンラインショップの「お問い合わせ」欄から質問も受け付けております。ぜひお気軽にご連絡ください!

 

様々な抽出方法でお楽しみ頂ける、高品質で個性豊かな珈琲豆をご用意しております。ご覧頂けると幸いです!

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最後までお読み頂きありがとうございました。

後珈琲探訪記

 

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参考文献

・旦部幸博『コーヒーの科学「おいしさ」はどこで生まれるのか』、講談社、2016年

・堀口俊英『THE STUDY OF COFFEE』、新星出版社、2020年

・三神亮『Coffee Fanatic 三神のスペシャルティコーヒー 攻略本"コーヒー・ファナティクス"(概論/焙煎/抽出)』、文芸社、2022年

・田口護・旦部幸博『コーヒー美味しさの方程式』、NHK出版、2014年

・全日本コーヒー商工組合連合会『コーヒー検定教本』(第3版)、2021年