【珈琲抽出理論④】抽出時間について
こんにちは!後珈琲探訪記です。
前回に続き、【珈琲抽出理論】を書きたいと思います。今回が最終回です!
全ての記事を読むと、好みの味に調整する方法の要点がわかるよう構成しておりますので、よろしければ過去記事もご覧ください!
未抽出/過抽出
抽出時間が長くなると過抽出寄りに、短くなると未抽出寄りになります。
このシリーズで定番の未抽出/過抽出です。これまで紹介した4つの項目全てが未抽出/過抽出に影響していました。
ですので、ある項目を変化させるときは、常に他の項目に気を配る必要があります。
例えば、質感を軽くするために粉の挽き目を粗くすると、未抽出気味になり濃度も大きく下がるので、お湯の温度を上げ豆の量を増やすことで補完するといった具合です。
また、ハンドドリップの場合挽き目を細かくすると、ドリッパーの中をお湯が通るスピードが遅くなります。そのため、同じようにお湯を注いだ場合自然と抽出時間が長くなります。
なので、抽出時間はそのままにしたい場合、水はけの良いドリッパーにする(HARIOのV60など)、注ぐスピードをあげるなどの調整が必要となります。
他の項目にも共通することですが、「雑味」について補足したいと思います。
過抽出の際に出てくる過度な苦味や渋味等の複雑な感覚を一般的に「雑味」といいます。しかしこの「雑味」も、明確な基準はありません。
どこからを「雑味」として避けて、どこまでを「本来の味」として抽出するのかは、抽出した人の個性が出るとても面白いポイントです。そういったポイントにも注目すると、ハンドドリップがより楽しくなるかと思います。
また、「味が強いな」と思った時も、
未抽出気味にするとクリアで軽くなって、飲みやすく感じることもあれば、
過抽出気味にすると味わいが複雑で上手くまとまり、飲みやすく感じることもあります。
奥深いですね。
実際の淹れ方
これまで、様々な抽出項目を説明してきましたが、具体的な数値は紹介していませんでした。
記事を読んでくださってるかたの手元にある珈琲豆も好みの味も違うので、ここで具体的なことを言うのはやめておこうと思います。
また、焙煎した業者ごとに作りたい味わいがあって、それに基づき生豆を選び焙煎方法を模索していますので、初めは自分が購入した珈琲豆を作っている企業の推奨する淹れ方を試すのがおススメです。
「〇〇(メーカー名) 淹れ方」と検索するとでてきます(当店ではインスタグラムで淹れ方の動画をアップしています!)。メーカーごとに具体的な数値が全然違いますので、見ているだけでもとても面白いです!
例えば、
スターバックスは180mlに粉10gを推奨していますが、
堀口珈琲では200mlに粉25gを推奨しています。(焙煎度ごとに粉量を設定していて、スターバックスの平均的な焙煎度「フレンチロースト」を参照した場合。詳しくは下記URL)
使用する粉の量に2倍以上の差があります。これも「生豆・焙煎の違い」「その他の抽出項目の違い」「理想とする味わいの違い」が要因と思われます。
【スターバックスURL】https://www.starbucks.co.jp/howto/coffee/skill.html
【堀口珈琲URL】https://www.kohikobo.co.jp/athome/
終わりに
これまで、「濃度」「質感」「未抽出/過抽出」などコーヒーの味わいを決める重要な要素について解説し、調整方法を説明してきました。
そして、これが絶対的な抽出理論ではないこともこれまで説明してきました。コーヒーは、元になった生豆も焙煎も製品ごとに全く違い、抽出条件も好みも消費者ごとにそれぞれ違うためです。
また、抽出の各項目を変化させた時に起こる複雑な化学変化が、まだ解明されていない部分が多くあることも重要です。
今回お伝えした【珈琲抽出理論】を使いながら、ご自身の五感を元に取捨選択し、独自の理論を作り上げて頂ければ幸いです!
また、様々な抽出方法でお楽しみいただきたい、高品質で新鮮な珈琲豆を販売しておりますので、よろしければご覧ください!↓
(当記事に関する質問・ご指摘もオンラインショップの「お問い合わせ」より受け付けております)
皆様のコーヒータイムがより素敵なものになるよう、お祈り申し上げます。
ここまでお付き合い頂きありがとうございました!
後珈琲探訪記
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参考文献
・旦部幸博『コーヒーの科学「おいしさ」はどこで生まれるのか』、講談社、2016年
・堀口俊英『THE STUDY OF COFFEE』、新星出版社、2020年
・三神亮『Coffee Fanatic 三神のスペシャルティコーヒー 攻略本"コーヒー・ファナティクス"(概論/焙煎/抽出)』、文芸社、2022年
・田口護・旦部幸博『コーヒー美味しさの方程式』、NHK出版、2014年
・全日本コーヒー商工組合連合会『コーヒー検定教本』(第3版)、2021年
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